若手の離職を防ぐ事は会社に囲い込む事ではないと思う


若手の離職を防ぐため「疑似家族」制度導入した会社に注目集まる 先輩社員と兄弟になるってどうなの? | キャリコネニュース

 

家族のイメージって昔と大きく違いませんか?

この記事の内容を読んで、かなり驚きました。疑似家族って・・・

島国気質というか、変化を望まない人には良いかも知れません。長男は親の後を継ぐべきかも知れませんし。田舎の慣習に染まっている人は良い施策と考えるかもしれません。でも、家族の形も人それぞれ違うでしょうし、時代によってイメージも違うでしょう。私には家族の形を模倣して得られるメリットが思い付きません。

 

私が考えた事は、この会社が求めている人材と、募集に集まった人材がずれていた事が問題だったのではないかと感じます。例えば「アットホームな職場です。」と書かれていた場合どんなイメージでしょうか。和気あいあいと話をしながら仕事するイメージでしょうか。

会社としては「言いたい事は言える雰囲気を作っているから、自分から発信して欲しい」という人材を求めている場合、今時の新人たちが「アットホームなんだから何でも親切に教えてくれる会社なんだ」と考えたならばどうでしょう。将来像は似ているかも知れませんが、入社した当初はかなりの隔たりが生まれるように思います。

 

最初から働きやすい環境の会社なんて無いでしょう

その会社で働こうと思う理由と、その会社を選んだ理由は人それぞれなのだから、全ての人に最適な会社がないし、会社に長くいたらいたで何かの不満が生まれると思います。特に新人から1年間は社会人になる事(なんでも自分でやらなくてはならない事)と仕事を覚える事で心身共に疲れてしまうと思います。昔のように地元で就職し実家から会社に行く人も減っているのではないでしょうか。また、家族がいたらいたで、親からは仕事は大事だから負けずに頑張れと妙な気負いをさせられる事もあるように思います。3年は頑張ろうというのは、時代遅れという向きもありますが、死ぬほどでなければ自分で頑張らないとダメでしょう。もっと若い人が働きたいと思える環境をそろえるべきだという意見も出そうですが、そんな余裕がある会社はごく一部だし即戦力にならない新入社員のご機嫌取りをしていても会社は良くならないとも言えます。

会社側にとっては悩ましい処ですが、新入社員が自分の居場所をちゃんと作れるような仕組み作りが必要であったのではないかと思います。

(それが疑似家族というのは、私としてはちょっと違う気がしますが。)

 

 古き良き会社が通用しない時代だと思う

グローバル化とか働き方改革とか会社に求められる事は色々あると思いますが、会社に人を囲い込むという発想でいる限りはどこかに歪が出てきてしまうのではないでしょうか。会社になくてはならない人材であっても自分で新しい事を始めたくなれば、会社を出て行ってしまうでしょうし、むしろ優秀な人材であればあるほど、会社の考え方と合わずに退社してしまう可能性もあると思います。

会社側も社員教育や福利厚生などにより社員に対してお金を払っている以上、会社が気に入らないんで転職しますと言われても、はい、そうですかと言えないわけでこのあたりのせめぎあいが難しい部分だと感じます。

 

いっそのこと、会社を辞めてないように餌で釣るような感覚を持たせず、いつでも戻ってきていいよと門戸を開いておく方が働く側にとっては気持ちがいいと思います。むしろそれができる会社であれば、きっと働きやすい会社だと思うので辞めていく人も少ないと思いますし、家庭の事情により仕方なく会社を辞めざるを得ない事になっても復職を考えておけるというのはお互いにとってメリットではないかと思います。

 

働く側と働かせる側には大きな隔たりがあると思うし、契約上の利害関係でしか成り立っていない事がイマドキの正しい姿だと思います。一昔前の会社が家族まで守ってくれるような時代はとうに終わりを告げているのだから、会社も個人も自立しお互いが合意できるような(対等とは言わないけれど)仕事の環境ができれば離職者も減るのではないでしょうか。

会社が倒産するという事が珍しくなくなってきた現在において、会社に依存して生きるのはリスクが高いですし、会社側も依存してくる社員を望んではいないでしょう。それでも会社は核となる人材を辞めさせず育てる必要があります。それには何よりも新人が対して3年後、5年後の自分をイメージできるように会社の情報を伝えて行くしかないのではないでしょうか。そして、会社と社員の方向性を合わせられるか調整を続けていくしかないのだと思います。

 

おしまい。