ソニータイマーと「修理する権利」

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iPad2Wi-Fi版程度しか使ったことがないので、製品の品質に関してとやかく言えるほどではないのですが、適切に扱えば容易く壊れるものではないのだと思います。

購入の際にも不慮の事故により破損することは有るだろうとは思いましたが、自宅での利用と割り切っていたため、直接地面に落として画面が破損するといった事故もないだろうと考えアップルケアに入るのはやめておきました。正直なところ、アップルケアの料金が高いというところが一番大きな判断材料ではありましたが。

 

SONYタイマーという都市伝説

私が子供の頃からソニータイマーなんていう言葉でSONY製品が揶揄されている事がありました。(今でも生きている言葉なんですかね)SONY製品は保証期間が過ぎたタイミングで壊れるようにできているという話なのです。理由は保証が利かなくなって壊れてしまったら、買い替えるしかないからSONYが買い替えを狙っているんだという話なのですが、始めてこの話を聞いた時(当時は小学生)でさえ、「そんな事しても誰も得しないないじゃん。高いのに直ぐに壊れる商品なら買わないよ…」と思った記憶が強いです。ネタとして面白い話なので、SONY製品が壊れた時にこの言葉を使っていたという理由が色濃いとは思いますが、それほどまでにSONY製品が家庭に浸透していたという事なのだと考えます。当時はラジカセ、ウォークマンなどを選ぶ際の選択肢はSONYが基準でした。(まさに、日本の家電業界はしのぎを削っていたと思います。)また、それなりに高価なものが多いため、壊れた時のショックは大きかったから都市伝説が生まれたのではないでしょうか。

 

壊れた時にどうするか

今から30年程前は、私が子供の頃は電化製品が故障した場合、購入した町の電気屋さんに相談する事が一般的でした。とはいえ、自分自身が子供であった事や、自宅の家電が壊れた事がほとんどなかったため想像している部分が多いのですが、テレビやラジカセが壊れた時には電気屋さんに持ち込んでいたのを覚えています。結果的に難しい故障であれば、電気屋さんからメーカーに問い合わせてくれるというだけではあったものの丁寧にサポートしてくれている事に安心感はありました。昔はメーカーと消費者にはそれなりに距離があって身近にサポートしてくれる店舗があるというのは重要だったと思いますが、今はインターネットで購入し壊れてしまったら、メーカーに問い合わせるというスタイルが多くなっていると考えます。消費者とメーカ-が直接繋がる方が修理時間も短く安心感も得られる場合もあるのではないでしょうか。メーカー側も故障対応は利益を生まないでしょうから、良い(壊れない)製品を作る事に対する意識は高くなると思います。

 

修理する権利

Appleの製品はアップグレードや修理のしやすさを犠牲にすることで美しいデザインを追求していますが、これは高価な機器を「使い捨て」にしなければならないことを示しています。これによりAppleはより多くの製品を販売することに成功しているのですが、以前から言われていたApple製品を「修理する権利」を求める声が大きくなりつつあり、ついにAppleはこの「修理する権利」を認める方向で対応が進んでいます。

「 高価な商品を使い捨てにしない。」という考え方は非常に理にかなっていると考えます。しかし、高価な商品である事と長期間使える事に直接的な関係があるかと言われると少し疑問は残ります。信じられない程の高級車であっても、いつかは部品がなくなり壊れてしまいますから。ただし、代替部品などを使い延命させる事は可能なので修理する権利を満たしているという事にでしょうが、これは値段の高低に関わる事なのでしょうか。本来であれば消費者側が修理のしやすさも含めた商品価値を踏まえて購入すべきなのではないかと考えます。仮に修理できない製品であっても、新品に取り換えてくれるなら「修理する権利」なんて考え方は出てこないんでしょ?と考えますし、Appleが安価に修理してくれるのであれば、このような議論は不要なのではないでしょうか。

私の個人的な偏見ではありますが、Apple製品は工業的な美術品であるため破損すれば美術品としての価値が下がる事になります。だからAppleは美術品の価値が下がらないように自分たちだけで修理(修復)する事を前提としているのだと感じましたし、それは会社の方針として必要な事だと思っていました。そして高額な修理費用が掛かるのも美術品と考えれば仕方が無いのだろうと。

 

おわりに

「修理する権利」の議論に関して深堀していないので、表面的な考え方なのかもしれませんが、電化製品であればメーカーに問い合わせる以外の修理方法が見当たりません。(扇風機や掃除機でさえ、小型が進んでいる事や、複雑な追加機能があり難しい事が多いと思います。)保証期間が過ぎれば高額な費用を払って修理をするか、買い替えるかしかないのだと考えます。第三者が互換品を出す事により製品の延命を図る事が出来るというのは製品の汎用的な部分か、その製品単体で互換商品を作る事に価値があるものに限られると想像されるのですが、汎用的な製品で修理ができるようになったら、製品の魅力は下がる一方ではないのでしょうか。それは、汎用製品の塊が洗練された商品だとは思えないからです。買う側もそれは認識していると思うのですが、壊れたら安価で修理したいという要望は変わりません。消費者側がどのように考え製品を扱っているかという所に帰ってくると思います。セレブしか使わない商品であれば買い替えればよいので、「修理する権利」の議論は無用なのでしょうし。

洗練された商品だと思うのであれば、使う側も洗練された人間になる必要が有るのかもしれません。それは収入の高低ではなく製品の何に価値を持っているかを考える事です。高額だから長く使えるではなく、製品の魅力をトータルコストを踏まえて判断し自分に合うものなのか判断するという事だと思います。

多種多様な製品が世の中に出回るようになったからこそ、他人の評判に惑わされず製品を選ぶスキルが必要なのだと思います。

 

もちろん、自分の好きな製品が長い間使えるようになる事は素晴らしい事だと思います。色々な思惑が有るでしょうが、メーカー側も消費者側の期待に応えて製品作りをして貰えると良いのでは無いかと考えます。

 

 おしまい。