一番のカイゼンってカイゼンっていう仕事を減らす事じゃない?と思う話

カイゼンカイゼンと声高に言われる度に、新しい仕事が増えたよと思う会社員の方々が多いのではないでしょうか。

 

カイゼンの考え方は素晴らしいと思います。悪い所を見つけ改善していく…終わりなき戦いであり効率化への追及。カイゼンにより自分達の仕事は効率的になり、生産性が上がると共に残業時間も減っていいことづくめだという事です。

しかし、こんないいことづくめなんて、凡百の失敗の中から成功する一握りなんじゃないでしょうか。それなりに強いメンバーがそろっていて、それなりにマネージメントもできていて、それなりに長期間のプロジェクトで、それなりにルーチン作業があると言った恵まれた環境下にあって成果が出るような気がしてなりません。

 

改善するために新しい仕事が増える理不尽

良し、これから改善するぞ!と息巻いたとします。素晴らしいアイデアがあり、メンバーがそれに賛同したとします。でもすんなりうまくは行きません。これまでの経験からして、だいたいは1か月以内に改善活動は低空飛行になります。

一番の原因は「時間が無いから」です。新しく始めるために足りない事は何かと言われたら、ほぼ間違いなく「時間」だと思います。30分でも1時間でも降って湧いたような暇な時間が出来れば活動できると思いますが、これまで積み重ねてきたルーチンでは時間を生み出す事は困難です。時間を作るために改善をするのですが、最初に時間が無いので活動する事が困難なのです。

「最終的に楽になるから頑張れよ」という事を軽々しく言う人がいます。しかし改善したいのは現状であり、今なのです。半年後に1年後に楽になるからと言われても、やりたいと思うでしょうか?「自分のため」ならまだしも、「会社のため」が先に来る時点で意思の強さは半減します。そもそも一年後に同じ職場にいるかすら怪しいのですから。

新しく始める事に対してはできる限り早く効果が見える事が重要だと思います。大半の人はせっかちだし、余計な仕事はやりたくないというのが本音でしょう。私もやりたくないというのが本音です。

 

続けられるカイゼン地獄

カイゼンの中でもトラブル防止の施策は危険をはらんでいます。稟議を回す事やチェックリストによる確認などなど。これらはトラブル発生時の予防線として行っている事が多いと思いますが、作業が形骸化した時点で「なんでやる必要があるの?」という状態に陥り、無駄な仕事を増やしています。ほとんどの場合は形骸化してもやり続けているので、表面上は滞りなく実行されていると認識される事になります。

そんな中、トラブルが発生するとカイゼンで予防線を張ってあったのに突破された!という発想からか、更なるチェック強化により予防線を厚くするという発想が生まれます。本当に必要なチェックならば、人を増やして対応する必要が有りますが実際にはそうなりません。現場に新たなチェックが増えて仕事が増えるだけです。

 

カイゼン成功秘訣は何かを得るために何を捨てられるかだと思う

成功すると思われるのに、絶対にやらないカイゼンがあります。

それは何かと言われたら・・・それは上司承認です。上司承認が必要な事を一つ減らすだけで無駄なコストは大きく削減されるだろうと想像されます。もちろん、部下の誤りや不正などを防止するために必要な事なのですべてがカイゼンの対象と言うわけではないのですが、どの会社にも、なんでこんなものまで承認が必要なんだろ?と思う事ってありますよね。そういうものって、本人の責任にしてしまえば簡単です。たいして重要ではないもの(近地の交通費など)であれば、本人が責任を取る事も可能だと思います。だって、上司の承認があった所で結果的に本人が責任を取る以外にないでしょう。

 

類似の事は多いと思います。現場で一番無駄な作業は重複した確認や項目が多すぎるチェックリストだと思います。無駄を省いてカイゼンを達成するためには、何かを止めて何かに置き換えるという事が必要なのではないかと思うのです。最初に捨てても良いけど捨てられない事を明確にして、捨てられない理由をカイゼンの目的にすれば、現場に無理なくカイゼンが行われるのではないでしょうか。

 

終わりに

改善を考えろと言われ、無い知恵を絞るのですが、だいたい大したものは出てこない。何かを止めるには、止めていい理由がいる・・・カイゼン疲れが生まれるのは仕方ないように思います。カイゼンを言う側が喜ぶようなカイゼンを考えても現場のためにはならないような気がします。見る角度によって無駄なのかそうでは無いのかが異なるため、暗黙的にではなく、「誰のためにやる」のかを明確に決めてからカイゼンを始めるのが良いのではないかと思うのです。そして、カイゼンするためにカイゼンという仕事を増やさない事が成功の秘訣なのではないでしょうか。

 

 

 

おしまい。