会社はお客と対等に戦える人材を求めている

30代半ばの後輩に誘われたまたま飲みに行く事になりました。

彼は何か相談事がある時に私を飲みに誘うので、今度も何かあったのだろうと思い誘いに乗りました。飲みに行くとその想像は的中し、転職先が決まりそうだという話になりました。

 

私はこれまでの会社生活の中で裏付けられた「会社とは契約関係でしか結ばれていない」事を意識しているため、後輩の相談に対しては「キャリアアップを考えてね~とか、そこは踏ん張りどころでしょ」と言った会社側の思惑を踏まえた上で、「自分が一番楽になる方法を考えよう。譲れない所を考えよう」と言った話をするように心がけています。

相談してくる人は、概ね自分の意志が決まっており、

  • 会社が楽しいのか
  • 会社にしがみつきたいのか
  • 会社から逃げたいのか

という方向性を持ち合わせているため、それに合わせた話をする事は簡単ではあるものの、何かしらのアドバイスを求められている事に対してあまりに無責任な話にしたくないため、相談者の考えをフラットにできるような話をするように心がけています。
(関わりたくないと思う相手については、相槌を打ってその場を乗り切りますけどね…。)

 

後輩は前に出るタイプではなかったものの、与えられた仕事をそつなくこなすタイプだったので守りで輝くタイプの人材だと思っていました。周りも同じ認識だっただろうと思います。しかし後輩は日々のトラブル対応と新規案件の仕事で疲弊していました。数年前からアラートは出していたものの、結果的に何も変わる事は無く転職する事になりそうです。

 

適切な人材を集めるか、適所に人材を配置するか

私はSEとして働いていますが、今の会社が抱えている問題は、適切な人材の不足です。お客様と戦える人材の不足。

リーダークラスになればお客様とやり合いながらメンバーの管理も行う必要が有ります。お客様の言いなりになれば利益を失いますし、お客様の依頼を全て突っぱねていれば軋轢を生む事になります。非常にバランス感が難しい。お客様を翻弄しながら最適な解を見つけていくというのは至難の業です。このストレスに堪えられる人材を会社は求めています。また、保守案件と新規案件を抱えている場合、ますますバランスを取る事が難しいです。保守案件ではお客様との交渉でギリギリの所を攻め、確実に利益を得る事を考える必要が有りますが、新規案件はある程度幅を持たせてお客様のリクエストをこなしていく必要が有るため、同時に抱えている場合、落ち着く暇がなく考えている状態になってしまいます。

しかも、新卒で集めてくる人材は技術職ばかり…採用される人も技術職を目指してきています。歌って踊れる技術屋と言うのはなかなかいないもので、言われた事を愚直にこなすタイプの方が多いと言わざるを得ません。ある程度の年齢に達してから性格を捻じ曲げてまで仕事をこなすというのは非常に困難ですし、最初からある程度の訓練を積んでいなければうまく行く理由もありません。

 

お客様と対等に戦える人材と言うのは一朝一夕で集められるものではありません。だから今いる人材で何とか補おうとします。上司は適材適所の配置だと言い張るでしょう。本当は割り当てられる人材がいないから何とか埋め合わせたというのが事実になりますが、そんな事を言っても誰も報われるわけではないため上司の判断に対する期待に応えようとします。本当はやりたくない仕事だったとしても。そして更に悪い事に弾となる人材は少なく取り合いになる傾向が高いため、優秀な人ほど複数の仕事を兼任する事が多くなります。これがまた優秀な人材を疲弊させる原因になってしまっています。

 

結果だけ見れて適所適材と言うバカ上司が良くいると感じます。自分の時に問題を起こさなきゃいいから…と言った逃げ切りを狙う上司の典型的な作戦ではないでしょうか。

 

会社は技術職と営業力を併せ持つ人材が理想形

会社が求めている事はお客様と対等に戦える人材である事。そして、お客様に金を出させることができる人材である事。

SEに対しても「仕事が少ない時は全員が営業であり、経営者であると考えなければならない。」という有難いお言葉を貰い、全員が白けてしまうという状況が発生しました。どう考えても効率的なのは分業であり、仕事が無いのであればエライ人が仕事を取ってこればいいだけなのです。技術職に歌って踊れる能力をいきなり仕込もうと思った所でうまく行くはずはありません。最終的に会社が求めているのは仕事を取ってきてナンボという事。若い頃は技術を磨けと散々言っておきながら、ある程度の年齢になれば技術力よりも交渉力が重視されます。

 

本当にビジネスで成功している方は、両方のスキルを兼ね揃えていたと思いますが、それが出来ないから職種があるわけで全方位的に能力を高めようとしても中途半端な人材になってしまうのがオチです。しかし、どこの部署に行っても、どこの会社に行っても誰とでも対等に話す事ができるコミュニケーションスキルや交渉力が物を言います。本当は技術力だけで働いていきたいと思っている人は多いと思います。(私もそう思います。)でも、仕事はそうはいかない。誰かのためになる事が仕事であるならば、何をやって欲しいのかだけでなく、どれくらい金を出せるのかまで含めて話ができる人材になっておく必要があると思います。そして、いくら技術力があってもそれを表現する事が出来なければ、ビジネスとしては役に立たないと言われかねないという事なのでしょう。

 

能力を持ち合わせない私は、自分の目の前の仕事を着実にこなす技術職として地味に働いていきたいと考えております。歌って踊れる能力を発現するために強力なストレスと戦うの事を望まないからです。自分の成長はさておき、もっと組織として補完しながら戦える会社になるといいのだが…と他力本願に思うのです。そして「社員一人一人が経営者」というのは会社のヤバイ兆候だとヒシヒシかんじております。

 

会社のヤバい兆候をまとめてみた。 - Everything you've ever Dreamed

(うちの会社はここまでヤバく無いですけどね…)

 

 

おしまい。