大きな仕事は管理者と担当者の両輪が必要だと思うのです。

「誰かが休んだことを、他の誰かが責める」という状況を放置するマネージャーにはなりたくない。 | Books&Apps

 

冒頭の記事を読みまして、プロジェクトの失敗は管理の失敗である事は、私も激しく同意です。ただし、プロジェクトの管理者が管理できる権限を持っている事が条件の上ですが。

 

一つは、誰かが産休や育休をとった程度で、他の人が殆ど休みを取れなくなるようなタスク状況を放置していること。 もう一つは、それを「管理者側の問題」であると明示しないで、社員が社員同士で悪感情を抱き、理不尽さを感じてしまうような環境を放置していること。

 

カネ、モノ、ヒト、(時間)をある程度できる裁量が無ければ管理はでき無いため、コントロールできない状況(人)であれば管理者になってはいけないと思います。少ないリソースながらコントロールしていくのが管理者の手腕と言われる事が多々ありますが、完全な無理筋を与えられている状況もあれば(火消しプロジェクトなど)、圧倒的にスキルの低い管理者が担当している場合もあり、プロジェクト毎に大きく事情は異なります。(一括りで話をしてしまうのはかなり難しい)

 

この件で言えば、プロジェクトのメンバーをある程度入れ換える事ができる事…強く言ってしまえば人事権がどうしても必要になります。優秀な管理者であれば、ある程度の能力を持ったメンバーを加入させる事でプロジェクトは成功するでしょうが、優秀ではない管理者の下にある程度の能力しかないメンバーが入ったところで成功は難しいでしょう。更に難しいのは、優秀ではない管理者の下に能力のあるメンバーが入っていても、烏合の衆となる場合がある事です。管理者の素質に恵まれなかったり、管理者を支援する空気が無ければ結果的にプロジェクトは失敗するという事なんです。

良く言われるのが自転車の両輪。バランスが取れていないと走ることができないですが、バランスが取れれば、力強く走る事も、遠くに行くことも可能になります。ただ、四輪車と違うのはバランスがシビアである事。どちらかの車輪が壊れなくとも、バランスが悪いだけで転倒します。2輪のうち、どちらかのタイヤでもスペアタイヤになってしまえばバランスを取るだけでも一苦労です。また、会社から期待されたプロジェクトになれば、(自転車に乗れない子供を支えるかのように)お偉いさんがハンドルを支えようとする事でバランスが取り辛くなりますし、大きなプロジェクトであれば実働メンバーが増えるためペダルを漕ぐパワーはでるものの、ハンドルの向き一つであっという間に明後日の方向に進んでしまうような事はしょっちゅうです。(戻るのが大変。)

 

この件については、

 の両方が無ければうまく行かないと思うのです。これはどの階層にの人にとっても必要な事ではありますが、管理者は特に必要なスキルだと言えます。上司には媚を売り、部下には恫喝して従わせるような管理者はそれなりに存在していると思いますが、大きなプロジェクトを成功させる事は出来ないでしょうし、人間的な信頼を得る事も難しいと思います。 

少なくとも、上司がきちんと「産休で他の誰かにしわ寄せがいっているのは、上司である自分の責任だ」と宣言していたら、こんな風に社員同士で不満がぐるぐる回って、一部の社員が会社に対する理不尽さを感じ続ける羽目になる、なんてことにならない筈なんですよ。

宣言するだけでうまく行くとは思いませんが、必要な事だと思います。さらに「どんな責任を取るのか」が重要になりますが、タスクを埋められるように人を増やす事ではないでしょうか。単純にやれる人を入れてくれたらいい…それだけなんですよね。会社が赤字になろうが代わりになる人を入れたら、この問題だけを見れば解決する問題なんです。

でも、みんなそれだけじゃうまく行かないと分かっているし、自分達も何とかしなきゃいけないとは思っている。人を入れてくれない上司がダメなのもわかっているから、仕方なく産休に入る人を責めるようになってしまうのではないでしょうか。

 

心情的な問題を仕組みだけで解決する事は難しいでしょう。会社とか組織とか明確でないターゲットを批判した所で、個人が持つ不満を解消できるものではありません。明確でない問題を解決する手段は自分が退職する事だと言うのは明白だからです。

別の話として、俺が頑張ってるんだから、お前も頑張れよという上司や同僚も厄介です。頑張る事(頑張り方)と責任を果たす事に一定のルールはなく、人それぞれだからです。何でもかんでも引き受けてしまう頑張り屋がいると思いますが、一人で抱え込むとトラブルが発生した時に誰もフォローできないんですよね。でも、そういう人に頼らないと仕事は回って行かない。しかし一歩間違うと、「あいつはアレだけ頑張ってるんだから、お前ももっと頑張れよ」と言う話になってしまう。

 

関係者の感情をコントロールするのは非常に難しいです。不満を持たせずやる気を出させる…モチベーションコントロールも管理者の役割なのだから、健全な管理者になるのは相当なセンスが必要でしょう。

病気の苦しさは病気になった人しかわからないし、産休に入る人の気持ちは子供を産んだ人しかわからない。モチベーションが異常に高い人の気持ちは、普通に仕事している人にはわからない。モチベーションが低いのに何でこの会社にいるの?と疑問になる人の気持ちもわからない。ただ言えるのは、協力しようと思えるチームであれば協力するしそうでなければ個人プレーをするという事。個人プレーで成功するプロジェクトもあれば、チームプレイで失敗するプロジェクトもある。一事が万事にはならないという事。

 

最終的には管理者と担当者が両輪となって、うまくけん制し合いながら回していくしかないのだと思います。文句を言いたい人は産休に入る人だけじゃなくて、誰にでも文句を言いたいのだろうという事を飲み込んだ上で管理者が全体調和を図るようなかじ取りをしていく…管理者も担当者に言いたい事だらけでも何とか抑えて成功に導く…そういうドロドロしたものを「仕事だから」という言葉で片付けていくしかないと思うのです。

 

 

 おしまい。