未経験の「やりたい事」と経験済の「やりたい事」には雲泥の差があると思う。

先日、山へキャンプに出掛けました。キャンプと言っても本格的なものではなく、コテージを借りて自然を楽しむ程度のイベントです。

 

私は基本的にキャンプが好きとは言いません。嫌いではないですが、私の家族が行うレジャー程度のイベントで好き嫌いと決められる程度ではないからです。どちらでもないが正解。幸い、田舎育ちな私は虫は平気ですし多少は不衛生な環境でも生活できるのでキャンプに行く事に不快感はありません。子供たちには家から出て違った環境を楽しむのも良い機会だと思うので、恒例行事として行われています。

厳密にいえば、以前よりもキャンプを好きになりました。しかし本格的なキャンプにチャレンジしたいかと言われるとそうでもありません。やっぱり面倒なんですよね。長い時間があってゆとりがあればもっと楽しめるかも知れませんが、半日かかって準備をして半日かかって片づけをして…という時間の無駄な感じがどうしても心に引っかかってしまうのです。今回の訪問先では大のキャンプ好きという方がいらっしゃいました。結婚する前からキャンプ好きだそうで、今は家族連れで年に何回もキャンプに出掛けているという話でした。本当に楽しめる方はスッキリとストレス発散ができて羨ましいな~と思いながら私との感覚に大きな差がある事を痛感しました。

 

当たり前なんですけど、キャンプがどれだけ好きであろうとも、生まれて初めてやってみる事があったはずなんですよね。私もキャンプに初めていく時はありました。その時はキャンプとは、がっつりテントを張り、はんごうでご飯を炊いてカレーを食べると言ったイメージがありました。しかし、初回は(今もですが)テントは張らずコテージで過ごし、バーベキューを少し楽しむくらいです。もし、最初からイメージ通りの方法でキャンプに行っていたらキャンプが嫌いになっていたかも知れません。(無いとは思いますが、逆にキャンプの虜になっていたかも知れません。)

 

「自分がやりたい事はコレなんです。」というコレが経験済みの事なのか、未経験なのかによって、話の筋が全く変わってくると思うのです。

 

仕事の中で「自分がやりたい事」をどのように考えていくかは非常に難しいように思います。日本人は年功序列の影響もあり、余程のミスを犯さなければ昇進していくと思います。(今時はそうでもなさそうですが。)逆にアメリカでは職種によって採用されている事ため、強く意識してステップアップを考えないとずーっと同じ仕事をする事になるみたいです。お国柄の違いはあれキャリアアップと言う考え方はあって、年齢を重ねる事により新しいキャリアを積みたいと考える事は必要だと思います。自分も会社もどんどん変わっていかなければ、若くバイタリティがあり安い給料で済む人材にとって置き換わられてしまうからです。(例え専業主婦であっても、死ぬまで同じ事だけをやって生きていく事は難しいでしょう。)その中で、キャリアアップの先は「自分のやりたい事」でなければ大変です。キャリアは上がれど、やりたくない仕事ばかりならば、まともな成果を出す事も難しいでしょう。

転職の場合だと前職で経験済みの仕事を転職先で活かすわけですから、イメージと実際の仕事に大きなブレはありません。しかし、社内での昇進であれば未経験なのですから、無理やり「自分がやりたい事」にしてしまう必要が有るのです。始めてキャンプに行く事と同様に、昇進して初めて新しい仕事をこなした時の感覚がその先の方向性を決めてしまう事になります。未経験の仕事が自分のイメージとピタリ当てはまる事なんてありません。上司の様子を見て想像していた事を自分の仕事に重ねているだけです。

 

就活している学生が、会社に入ってやってみたい事はあるのか?と聞いたところで明確な答えはないでしょうし、その方が会社としても使いやすいでしょう。今時の就活事情は知らないですが、意識の高い事を評価しながら会社には従順な事を求めると言う二面性がある以上、やりたい事を素直にやりたいと言うのは難しいと思います。(もちろんん、学生時代からビジネスに携わり、企業もしたことがあるような人材であれば別格だと思いますが。)

どんな仕事でも、やってみてもいいかな?と思ったらひとまず経験してみて、その経験の良かった事を積み上げていくしか無いと思うのです。どうしても嫌だと思えば部署を異動するか、それこそ転職するかと言う道を選ぶ事もあるでしょうが、未経験者が抱く「やりたい事」と言うのは基本的に嫌な事は見えていないはずだから、嫌な事だけに目を向けず良かった事に重きを置くしかないのです。どんな大起業家であっても、どんなに成功している人でも、想像していないやりたくない事をやり遂げた上で、「やりたい事」を成功させているはずなのです。

やる前からどれほどやりたい!と思っていても、フタを開ければこんな予定じゃなかったという事もあれば、別にやりたくないんだけど…と言っていたのにやってみたらハマってしまったという事はあります。ただ、仕事は人間同士が関わる事なので、必ずやりたくない事は付きまといます。それも経験を積み手持ちのグッズを増やしていく事で嫌な事を減らし、楽しいと思える部分を増やしていく事は可能だと思います。

私がキャンプに抱いているような感覚のように、慣れによって「やってもいいかな、やりたいな」という部分を増やし、「ここだけは避けたいな、他の方法は無いかな」と言った逃げ手を打てるようになれば仕事でも良い成果が出せるのではないかと思います。

 

と言いながら、私自身は昇進をあきらめてしまいました…。今は子供が小さく自分よりも家族を優先しようと思う時期だからです。本当はやってみてから判断しようと思ったんですけどね…音をあげたら降格させてくれる制度があればよかったな~なんて思う次第です。

 

おしまい。