言われた事しかできないと言われても、自分の役割を決める事の難しさよ

春。それは人事異動のシーズン。

異動先では右も左もわからなくて苦労されている方も多くいらっしゃることでしょう。異動したてで勝手がわからない中で思い切った行動をするのは難しいものです。
そんな中で「言われた事しかできないやつだな!」と言われて怒られた事は無いでしょうか。私は会社に勤めて20年近くになり社畜レベルが上がっていますから、言われる機会を失いましたが、若かりし頃には「もう少し工夫しろよ。」などと遠回しに言われた事を記憶しています。

 

空気が読める事は昔から望まれてきた。

世間では空気を読むタイプが重宝されますよね。

一を聴いて十を知るなんて言葉もあります。

物事の一端を聞いただけで、その全体を理解するほど、聡明である。
一を聞いて十を知る(イチヲキイテジュウヲシル)とは - コトバンク

 兎に角、察しが良い方が好まれる傾向が強いように思われます。

 

それ自体は不自然なことではなく、簡単に説明しただけで意図を理解してくれて、パパっと想定した以上の事をやってくれる人がいれば、自分の仕事は楽になるのになーと大半の人は妄想するでしょう。(した事が無い人は、妄想してみてください。)

現実にはそんな都合のいい人はいないのですが、経験則をもとにしたちょっとした工夫で似たような事を実現しているのです。

 

都合よくやってくれる人にお願いはするものだ。

皆さんも身近な人は家族や友人、仲のいい同僚に対してお願い事をする場合はどうするでしょう。細かに説明してお願いするでしょうか?それとも、ざっくり伝えて分からなかったら聞いて!と言ってお願いするでしょうか。

・・・答えは「人による」だと思います。

 

日頃、意識せずにやっている事なのだけど、誰かにお願いをする時にはいろいろな要素を判断していると思うのです。車の運転ができる事、録画の操作できる事といったハッキリしたスキル要素から、自分と相手の関係性や自分の考え方と相手の考え方距離のといった感覚的な事もポイントになります。いろいろな要素を会話のなかで判断して、お願いする人に対して「ここまで伝えれば、ここまでやってくれるはず」というのを頭の中で作り上げているのだと思います。多くの場合は、想定通りの結果を得られる事になると思いますが、中でもお願い上手な人はお願いする相手の事を良く知っているから想定以上の結果を引き出す事が出来ているのではないでしょうか。

 

知りあいに何かをお願いする時の期待値はかなり高い。

そうなると誰かにお願いをする人は、相手がどのくらいの成果をだすか織り込みずという事になります。そうなると、「失敗するかも」という期待値は想定されていなくて、「成功するけれど、ここまでやってくれるかな」という所が期待値の最低ラインになるでしょう。

もし、「失敗してもよい」 という期待値をもてるとしたら、その人が失敗しても良い経験を得られる場合(お願いした事に対して目的はあるけれど、真の目的が依頼された人を成長させる事である場合)に限られると思います。そうでなければ、お願いする必要は無かったのにお願いしたという事になりますね。(そういう事も現実社会ではたまに見かけますが…)

 

言われた事しかできないのは、誰の責任か

「言われた事しかできない = 言われた事以外はやらない」という事です。言われてない事までやるかやらないかは、お願い事を引き受けた人の考え方によると思います。実際には、さまざまな理由(たまたま忙しかった、知識がなかった など)がありますが、社会人であれば「引き受けたからには、お願いされたミッションはやり遂げよう」という考えが普通ではないでしょうか。

それならば、最初からすべて依頼されていれば言われた事しかやらなくても満足度は高くなります。反対に細かい事を言わず「自分で考えろ」と言われたお願い事であれば良い結果出るか出ないかは賭けになります。どこがゴールか分からないミッションに対して中途半端な所で、端折ってしまうと多くの場合で追加注文が来ることでしょう。

 

「言われたことしかできない」のは、お願いする側とされる側の認識の違いそのものだと思うのです。

 

 自分の役割を再認識する

気が利くと言われたり、お願いされた事以上の結果が出せるのは、サプライズの得手不得手に似ていると思います。相手の事を知り、相手が喜ぶような仕掛けをするのです。それは相手との関係性がはっきりしていることも大切で、不相応なサプライズは「何か裏があるのではないか?」と不審に思わせるでしょう。

そう考えると今の自分がどのような立ち位置にいて、自分の役割は何をする事なのか明確にしておく必要があります。自分の判断でここまでやっておくべき、ここから先は勝手にやってはいけないという2つのラインです。ラインとラインには間が空いていて、その間がとても広い場合もあれば、ほとんど無い場合もあります。

「ここから先は勝手にやってはいけないライン」のギリギリまで攻めることで、言われたことに対しるプラスアルファ(サプライズ)を提供できると思います。

ただし、このラインが自分の思い込みではない事を念のため確認しておく必要が有ります。確認してしまえばサプライズ感は失われてしまいますが、確認する行為そのものが相手に安心感を与え無駄なものを省く事になるため、タイミングを見計らって確認をするのが良いと思います。

 

相手との立場の違いから、なかなか思い通りに進まない事も多いと思います。 

「言われた事しかできない」というレッテルを張られる事もうれしくは無いですが、「言われた事はちゃんとこなす」という評価を受けられるようになってから、成長していけばいいのではないかと思うのです。

 

 

おしまい。