首輪が締まって首を切られる前に

「リストラ」流行ってますね。かなり前からですが。

このウェーブに乗りたくは無いですが、このままベルトコンベアーに乗り続ければ(エスカレータではない)あと数年で45歳になり私の前にリストラ神が顕現するかも知れません。これまで同じ会社で20年以上働いてきましたが、30歳も過ぎた頃からは会社から付けられている首輪の紐が短く、太くなっているように感じていました。会社から携帯電話を渡された時に決定的に感じた、あの、「いつでも呼び出される事になるんだな。」という感覚は今でも変わりません。気付かなかったじゃすまないですから。見えなかった紐が携帯電話という形で目に見えるようになったと言えるかも知れません。
そして、そのまま歳を取るのだろう。そう思いました。


今では首輪を抜けるどころか、首輪が食い込むほどに贅肉がついてしまっていて、上司に尻尾を振る事しかできなくなっていたからです。これまで単純な罠に嵌っていた事に全く気付いていませんでした。

若い頃は苦しい仕事でも成果を出し上司から評価される事を第一に考え、仕事のできない先輩社員を心の中でバカにしていた頃もありました。良く言えば仕事に前向きでした。しかし、自分が歳を取り後輩や部下が多くなれば気付く事もあります。会社第一で頑張っている人材は会社から逃げないから扱いが楽なのだと。苦しい仕事でもちゃんと餌をやり太らせてしまえば、会社を辞める事も出来なくなるし、それなりに仕事もこなしてくれる。私はそういう人材になっていました。ところが、45歳を超えてしまうと、そういった「会社第一の人材」の大半は必要は無くなります。費用対効果を考えれば、多少のスキルが劣っても給料が安くて体力もある若手に任せた方が良いに決まってます。30代で使いやすい人材を増やしすぎた事で、40代の使いにくい社員が増えてしまったという事でしょう。

「勝手に何処へでもお行き」と言われて、自ら首輪を外す事が出来るならそれに越したことはありません。ですが、ほとんどの場合は自分から首輪を外す事ができなくなっています。年々小さくなっていく首輪に息苦しさを感じながら首輪が閉まり首が切られるまで居残る事になるのでしょう。(私は富士通さんの関係者ではありませんが。)

 

 

リストラを打ち出している企業グループの末端が悲惨すぎて言葉を失った。 -
Everything you've ever Dreamed

 

「45歳以上はリストラしたい」+「高技能の若者が欲しい」=「子どもが増えない」 - シロクマの屑籠

 

結果的には自己責任なのだけど、そういう時代が作られていたという意味では、公害に似ています。時代によって最適な雇用形態があって、景気や国の政策に合わせて右往左往しながら会社も生きながらえてきたのだから。公害と認定されれば被害を被った人は救済される可能性はありますが、そうでなければ泣き寝入りするしかありません。わざわざ「終身雇用は無くなりました」と宣言するくらい、古い政策のはずだった終身雇用を信じ、信じたものに裏切られる事は無いと幻想を抱いている人たちは考え方を改める必要が有るのでしょう。(今の私も心の底では、自分は首を切られる側回るだろうと思えていません。)

日本の社会が変わるためには、義務教育から変えていく必要が有るのだと思います。そうなると日本の良さとか文化と言うものをどのように変えていくのか、変わっていく必要が有るのかまで話が及びます。そこまで変えられる人はなかなかいないでしょう。

 

まだ、首を切られる立場にいない自分が、45歳になって首を切られる側に回った時にどのように感じるか分かりません。徐々に閉まっていく首輪で50歳になってから首を切られる方が良いのか、45歳の時点で自ら新天地を求める方が良いのか今は分かりませんが、今のまま、何もしないでいる事は出来ないのだと感じます。ひとまずは50歳で首を切られると仮定した場合の人生設計をしておくしかありません。(終身雇用は無理と言っているのだから。)

人生再設計第一世代。国の政策に踊らされず、残りの人生を再設計する必要が有りそうです。

 

おしまい。