「退職予測」されちゃう未来


的中率90%、「退職予測」AI開発者の思い (Forbes JAPAN) - Yahoo!ニュース

 

普段気にしないような小さな情報から退職予測ができるようになるらしいです。

「月曜の出勤時間の微妙な変化や遅刻、残業、早退、打刻忘れなどから、AIエンジンが7000以上の退職影響因子を作成して予測する」という。

所属する会社や、個人の属性に合わせて、ある種の傾向がある事は不自然ではないため、洗練されていけば、予測が当たるようになると思います。退職の原因が人間関係や仕事のミスマッチであるならば、会社として対策を打てるという事は人事として大きなメリットになると思います。

 

なぜ退職予測が必要なのか?

退職する事の損失は、優秀な人材であれば、「戦力が失われる事」でしょうし、若手であれば「人材育成にかかった費用を回収できない」なんて事があるように思います。会社としても会社の利益にならない人間は解雇したいというのが本音でしょうから、会社に貢献できる人間を囲い込むために退職予測は必要なのだと思います。後は、セクハラ、パワハラと言った反社会的行為に対して会社が訴えられないようにする対策もありそうです。

常々、退職理由の上位に「人間関係がうまく行かない」事がランクインするので(本音かどうかわかりませんが。)人間関係に対して対策を立てる事により「本当は働きたい」と言う人の退職を防ぐ事が可能になるかもしれません。

 

予測結果をどのように伝えるのか 

予測が得られたとしても、本人に伝える方法が難しいでしょう。「お前、退職予測にリストアップされてるぞ。」なんて聞こえて来たら、ザワッとしますよね。会社側がいくら社員に対してこのような施策を行っている事を伝えてあったとしても、社員側には「何かしら不利になるのではないか」と言った、レッテルを貼られる事に対する心配も生まれます。本当に離職を予定している人なら会社での問題は無いかも知れませんが、他人から退職予測を告げられる事に嫌悪感を抱く人もいると予想されます。

 

予測と現実の境界

 当たり外れはあるとして、人間の感情は常に動いています。「辛いなぁ、でも、今は頑張ろう」と頑張っている人に対して、「もしかして退職したいと思っていませんか?」と言われたらどうでしょう?もう少しライトに「悩みはありませんか?」と言われたら…誰しも悩みはあるし、会社を辞めたいと思うことは一度くらいあるでしょう。予測の結果からとは言え、他人からそのような事を言われてしまうと、自分の気持ちも「辞めたいと思ってたんだ。」と誘導されてしまうのでは無いかと思うのです。そうなると、予想が現実になる確率が上がってしまうような気がしてなりません。また、もう少し頑張ろうと息巻いていた人の出鼻を挫く事に繋がる可能性もあります。人の心を分析する事の難しさがあるように思います。

 

もしかして犯罪予測まで?

すでに犯罪予測は検討されていると思います。日常的に反社会的な行為をしている人が犯罪を犯す可能性は高いと言えるからです。しかし、殺人などの凶悪事件の犯人が目立たない、普通の人と言うのがありがちな話になってきました。逆に考えると、社会の目から逃れているからこそ、犯罪を犯しても見つからないと思っているのではないかと考えてしまいます。そんな世の中で、町中に監視カメラが増えて、色々な人の行動が監視されていると考えると、犯罪予測が進めば目立たないけれど何か引っかかる人が出てくるかも知れません。しかし、いくら予測しても犯罪行為に至る前は捕まえる事はできません。もし捕まえてしまえば冤罪になってしまいます。予測を行う事は特に問題はないと思いますが、どのように生かしていくかと言うのは大きな課題なのだと思います。
自分は不穏な行動はしていないから大丈夫だと思っていても、犯罪予想に適合してしまったら…ちょっと不安になりますね。

 

まとめ

人間は未来を知る事が出来ないので、 何とかして未来のリスクを抑えようと試行錯誤するけれど、結局、予想でも予測でも当たらない時は当たらないという現実は残されると思います。だから、人間を分析する研究はどんどん進めて行って欲しいと思いますが、分析された結果に振り回されない人間を育てる事も大事なのだと思います。もし、多くの人が予測に頼るようになったら、最終的に自分で判断するという事が出来なくなってしまうのではないでしょうか。間違ってもいいから、自分が決断する事が経験となり血肉となっていくように思います。更に、AIなどによる予測はあくまでも有能なアドバイザーとして発展していってくれるといいなと思うのです。たとえ100%の判定が出たとしても、あえて人間が判断できる選択肢をいくつか与えてくれるような。そうする事で人間の可能性を広げてくれて、予測を超える何かが得られるようになれば、人間にとってより良い世界になるような気がするのです。

 

 

おしまい。