退職するお偉い様に対する部下たちの忖度

それは敬意払う事なのか、ただの忖度なのか

長い間、私の部門のトップに君臨されていた方が退職されるようです。年齢を考えると定年ではないとの事で、何やら考える所があり今の地位から退くことを考えられたようです。事業として、あまりうまくいかない時期もあり、かなり苦しい任期であったのではないかと思います。ほとんど関りが無いとは言え、私の所属する部門のトップとして君臨されてきたのですから組織の一員として敬意を払いたいとは思います。

 

しかし、送別会をめぐる忖度度合が私の心をモヤモヤさせました。

当然のように組織全体に号令がかかりました。送別会への出席だけでなく記念品のカンパも集めるとの事。ひと昔前であれば、会社とはそういうものだから…で済んでいた話でしょうが、今どきは少しくらい工夫が必要だと思います。

 「ほとんど関わっていない人のために、何で金を出さないといけないんだ…」

かなり多くの社員がそう思ったに違いありません。同期だとか同世代ならまだしも、新入社員が何か世話になった覚えはないでしょうから高評価も低評価もなく、ただ上の席に君臨していた人というイメージしかないでしょう。

 

私のモヤモヤは1ヶ月前から募集が始まった事が一番の原因です。本来であれば異動の辞令は1週間前にしか通知しないルール。大きな異動でも2週間という所でしょう。忖度された方からの「オマエら仕事の調整して参加しろよ」というプレッシャーとしか考えられません。表向きには参加者が多くなる可能性があるためとの事でしたが、参加者が多いと思う事が忖度しすぎだろーといいたくなるというか。

そして蓋を開けて見れば、参加者はかなり少ない様子。もともと、どれくらいの参加を見込んでいたかわかりませんが召集に対して3割に満たない空気でした。結果的に多くの人は忖度しなかったようです。

私は送別されるご本人に対して特別な感情はないですし、それなりの給料を貰って会社の役割を果たしただけとしか思っていません。送別会なんて内輪でやれば良いですし、会社や組織として敬意を払うのであれば終業時間にやればいいです。ぶっちゃけ朝礼やらなんやらで挨拶して花束渡すだけじゃあかんのかなと。

 

シンパの方が周りの忖度を煽るような状況というのは、あまり気持ちが良いものではありません。

 

忖度したくないが、しないと仕事が増える

 ビジネスマンとして上司や顧客が必要とするものを先読みし、本当に必要なものを提供する能力は必要だと思います。それが度を過ぎていくと厄介な事になります。

例えばAさんが気のきいた資料を提出したとすると、Bさんに対して同様の資料を提示する事を求められます。そうするとBさんは「資料が足りないと言われると面倒だから、余分に資料を作っておくか。」となります。これが繰り返されることで、あったらいいなレベルの資料が増えていくのです。資料を後付けで用意するのは面倒だし、その場をうまく切り抜けた方が仕事は早く進みます。

力の強い上司が長期間同じ椅子に座っていたら、その度合いは強まるばかりです。

 

このような忖度しないと仕事が回らない状況に陥った段階で、何かを変える事は困難になるのだと思います。本人に対して思った事をいう事もできない状況や、「うまくやっときました!」といわなければならない状況を作り出してしまった時点で自ら消える事が変化を促す事だと気づいて欲しいものです。とは言え、自ら一戦を退く事を考えたとしても周りの忖度から「まだまだ頑張ってくださいよ。」「あなたがいなくて誰がやるんですか。」と言われているのが目に浮かびます。周りも忖度したくないでしょうが、いざこざや面倒はごめんだし無駄な仕事が増えるのも嫌だ事でしょう。まさに末期ですね。行き詰まっている組織はどこもこんな感じなのではないでしょうか。
常に変化を求めてビジネスを推進するのであれば、忖度する事は邪魔なものになる場合も多いでしょう。

 

終わりに

フミコフミコさんの書かれている記事の通り、忖度の被害者は末端に近く弱い人間になりやすいと思います。

 なぜ忖度はなされるのか。 - Everything you've ever Dreamed

私が今回書いた内容は本当にちっちゃい事だと思います。もちろん目上の人に対する敬意は払う必要はありますがビジネスの場にいる以上、行き過ぎた忖度は必要ないと思うのです。得てして組織の中で権力を持ち、押しの強い物言いでのし上がったような人は忖度の対象になりやすく、そういう人達自身も忖度される事を望んでいる事が問題なのだと思います。私が万が一心が折れる程の忖度しなければならない状況に陥ったら、即座に逃げようと思います。

 

忖度という言葉も悪いイメージが定着してしまい、被害者の一人ですね。

 

おしまい。