「正しさ」をシンプルに子供に教える事が難しいと感じています。

すっかり春を感じるようになりましたがいかがお過ごしでしょうか。
春といえば何かが変わるタイミングです。身近な所では電車の時刻表の変更やテレビ番組の改変期だったりしますが、私の息子には大きなイベントとなる卒園式がありました。

 

実は卒園式に参加するのは2回目です。既に上の子が2年前に卒園していたので、卒園式の空気感はなんとなく把握していました。親にとっては上の子で経験したイベントは既にクリアしたミッションと同じなので、二周目をドラクエをやるみたいにスキップボタンを連打したい感覚に陥ります。(来賓の方のありがたいお話は聞けますけどね・・・)

しかし、卒園する6歳児たちは「何かいつもと違う事をやっているな~」という物珍しいような顔つきで式に参加していました。何をやっているか完全に理解できていない子供たちがワンワン泣いて式が進まないなんて状況を求める事に無理があります。(保護者も求めてはいませんね。)
だいたい、自分の子供の頃を一生懸命思い出そうとしても、兄弟のごとく遊んだ友達以外の顔はミジンコも思い出す事はできませんし、仲の良かった友達と離れて寂しくなるのは1か月くらい過ぎた後ではないでしょうか。そんなノスタルジーも直ぐに無くなって写真をみて、こんな事あったっけ?とおもえるのが人間の良い所かも知れません。

 

対照的に感情があふれているのは保育園の先生がたでした。子供一人の面倒を見るだけでものすごいパワーが必要だし、ましてや子供たちが集団になった時のパワーはとても大きくて、このパワーと毎日戦ってきたと思うと私には絶対できない事だと思うばかりです。親も知らないいろいろな苦労があったのだろうなと感じます。ひとりひとりに合わせて色々な事を教えてくれたのだと思います。

 

我が子は卒園はしましたが、まだまだ子供です。
親が教えなくてはいけない事も山ほどあります。ほんとうなら保育園で教えられてきた事もあるはずなのですが、なかなか定着しません。子供が男子という事もあると思いますが、話を聞かなかったり、急に走り回ったりという事はしょっちゅうで物を壊したり(壊されたり)本人がケガをしないために注意をする事が多くあります。(小さな子供がいるどこのご家庭でもおなじだと思います。)どうしても小言が多くなる我が家は世間的には厳しい方かな・・・と思うのですが、そう思う理由は本当の所、厳しいか厳しくないかという事ではなくて、「親が叱りすぎている」と感じている事が理由なのだと思いながら、なかなか改善する事ができません。

 

例えば「道路では遊んでいけない。」という事を教えます。車が来たら危ないからという、大人にとっては非常にシンプルな理由なのですが、子供たちは遊びたいのに遊ばせてくれないという感情しか残りません。ほんとうにメンドウくさいと感じてしまうのですが、子供に本当の意味で理解されるのはかなり先の事になります。理解されない間は何度となく注意してしまうのですが、子供たちを見ていると車が近寄れば勝手に避難しますし、ちょっと意識が高い子が気を付けてくれたりします。見よう見まねで行動している事にまちがいないと思うのですが、親がいなければそれなりに自分で考える力が作動するという事なんですよね。親がみている時は親に頼りきりになるため、頭を働かす必要がなく自分は安全だと思い込んでしまうように感じます。

その他の行動についても、親がいない方が自主的にやれる事も多々あるように思います。(親が見ていないと手抜きになるという弊害もありますが。)

  親心としては、叱っているんじゃなくて教えているんだよと言いたいのです。声が大きくなっちゃうけれど、そこは子供にもくみ取って欲しいのだけど思った通りには行かないのが実情です。いろいろ教えてあげたいという思いがつよすぎるのかもしれません。

 

そんなこんなの生活で、子供たちに正しい事を教える事がとてもむずかしい事だと感じるようになりました。

 

例えば、テレビで外国の内容が放送されるのを見て子供の目にはどのように映っているるのか気になる時があります。特にバラエティー番組でテレビに映される貧しい地域の人や少数民族の人たちの習慣や儀式は子供達だけでなく大人たちからも物珍しく、時として笑える場面があります。(バラエティー番組はそれを売りにしている面も大きいと思います。)それについて親子で笑いながらテレビを見る事はそんなに悪い事とは思いませんが、子供たちには自分とは違う事をしている人を見て「変だ、間違っている」と思って欲しくないのです。

世界は広くて色々な人たちがいて色々な考えを持っているのだから出来る限り尊重し、自分の頭で正しい事と正しくない事を判断して欲しいというのが私の願いです。

 

貧しい国の雨水を飲んでいる子供達を見て、「あんなことしちゃだめだ」と我が子に言うのは簡単なのだけど、現地の人にとってそれが正解だし、そうやって生きているのだから間違いではないのです。

 

私の子供たちに対して、「日本で生きているから、日本で生きるためのマナーやルールを教えているんだよ」と伝えています。今はまだ、なんの事かピンとこないと思うけれど、テレビの中の世界も世界のどこかにあって、日本人では考えられない事をやっていても、そこにいる人達にとっては大真面目で正しい事をやっているという事を尊重しなくてはならないからです。私の子供たちが「自分が教えられた事と違うから間違っている」と思うようにはなって欲しくないと思うのです。

 

まだ6歳なので先は長いのですが、私の子供たちが少し難しい話もできるようになったら、こんな話をしたいと思います。

 

 おしまい。