「働く年齢、70歳に延長検討」は、余計なお世話にしか感じない

明日、何が起こるか分からない

立て続けに災害が発生し、多くの人が大変な思いをされている事をニュースで見ながら、自分が被害を受けなくて良かった・・・と感じています。これもたまたま運が良かったんだと思い、微力ながら募金によるお力添えをしたいと思います。

 

何事もなくいつもの平日を過ごしている中で、「貧乏人は70歳まで働けよ」という事ではないと思うのですが、定年引上げが検討されるようです。


働く年齢、70歳に延長検討 政府、法改正や助成金拡充 - 共同通信

 

明日何が起こるか分からないのに、70歳の事まで考えておけますかね。

 

70歳まで働けるんだなという間違い

このニュースを読んだ時、「70歳まで働なければいけなくなったのだ」と解釈しました。定年が引き上げられて、年金支給も遅くなって生きていくための軍資金が無ければ、まともな生活が送れないなぁと。しかし冷静に考えて見ると、自分は70歳でまともに仕事ができる状態にあるのだろうか?という疑問が湧いてきました。

定年が70歳と聞いただけで、みんなが元気で長生きできるように想像しませんでした?それは自分にも当てはまるのでしょうか。平均寿命が80歳なのにそんなに元気に働ける人ばっかりなのでしょうか。確かに元気な人も大勢いらっしゃると思いますが、それ相応に持病を持っていたり、老化による障害を抱えている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

定年の引き上げを検討する事は良いとしても、ほとんどの人が70歳まで大病もせず元気で働いているんだと思い込んでしまったら良くないんじゃないかと思うのです。たまたま70歳まで働けるというレベルで考えておかないと70歳まで無理して働いてポックリ逝ってしまったら目も当てられません。

 

70歳までローンを組めるようになるんじゃないか?

働く事ができるようになれば、ローンを組む事が出来るようになるかも知れません。35年の住宅ローンでも恐ろしい仕組みだったのに、更に長期間のローンを組めるようになる可能性があります。しかし先ほど書いたように「本当に元気で働けるのか」という点においては常に大きなリスクが伴うので、働ける事を前提に考えさせるのはミスリードだとしか思えません。とはいえ、70歳まで生命保険や健康保険が真っ当なお金を出してくれるのであれば、この老化に対するリスクを帳消しにする事が出来る可能性があります。が、間違いなく掛け金は上がっていくでしょうね。

もし転んで怪我をしたとして、年金はもらえないし、給料ももらえない。怪我が悪化して寝たきりになったとしたら・・・さてどうやって生きていくんだろう。健康保険に頼って生きていけるものなんだろうか。

 

才能の無い60歳を想像してみよう。

これだけ変化の速い現代にあって、更にAIによる人手による仕事の削減を検討されている現状なのに60歳代でできる事って何でしょう。培った経験を生かす仕事でしょうか?職能という意味では稀なスキルや特別な才能を持った方であれば70歳まで役に立つ事もあると思います。(そこまでしなきゃ存続できない会社だというのであれば、近いうちに倒産するような気もしますが。)しかし、大半の人は「その他大勢」に分類されてしまう事に間違いはありません。出来る人が少ないからこそ稀なスキルであり特別な才能なわけですから、大半の人は「その他大勢」に分類される事は明白です。才能の無い60歳代は職場で何をやってるんでしょうか。誰にでもできる事を、誰かの代わりにやるんですかね・・・。同じ職場に残るという事は「その他大勢」として疎まれながら残る事になるという事になりかねません。

この問題の根深い所は、高い役職についていたから才能があるとは言い切れない点だと思います。たまたま、そのポジションにいるだけなのか、必要とされてそのポジションに座っているのかによって大きく変わってくるでしょうし、コミュニケーション力や好奇心と言った「年の割に若い」部分を残していないとただの使いにくいおっさん・おばさんになってしまいます。

 

会社が本人の能力、環境に合わせてあげるのは難しい

雇用延長されたとしても、会社として「個人の能力や環境に合わせて仕事を作ってあげる。」という状況は望ましくないと思います。何しろ競争力は無くなるでしょうし、余計な手間も増えるはずです。どうせだったら、多めに退職金を払ってさっさと辞めてもらった方が助かるという企業も多いと思います。私の勤めている会社でもそういう動きが広まっています。雇用延長しても「やっすい給料ならやとってやるよ。」と言うのが本音になるのではないでしょうか。日本の会社での雇用延長は「雇ってあげる=仕事を作ってあげる」という面が大きすぎて破綻の道を近づけているように思います。会社自体が存続できなくなったら意味がないわけですから。そう考えた時、個人の体力、能力に合わせて仕事をあっせんする派遣会社が必要になってくるんじゃないかと思います。会社単位での雇用延長を考えていたら、負担が増すばかりじゃなかろうか。この考え方も使える人材なら良いと思います。適材適所が適用できる人材。公的にはハローワークだったり、シルバーさんだったりして、今時点で発生している問題を先送りすることにしかならないようにも思えます。

 

もっと働ける場所を探すしかない・・でも難しいやろ

幸運にも会社に残れるのであればめでたい事ですが、大半の人肌難しいんじゃないかな。私も勤労意欲がないので、かなり難しいと思っています。そうなると、人との繋がりを作って雇ってもらえる所を探しておくしかないように思うのです。先輩や会社のツテを頼って。「年金をあてにせんと自分で働けよ」と国をあてにするなと言っているのだから、自分で何とかするしかないです。でも会社には酷い待遇でも70歳まで働いている人がいるわけで働き口が減っているとなれば…本当にいい感じで回るんでしょうかね。本音を言えば60代でも70代でも、さらには80代でもバリバリ働いて高給を貰える人から、税金をたっぷり受け取って、貧乏で仕事の無い年寄に配った方がまだましなんじゃないかなと思ったりするのですが・・・。

 

 おしまい。