デキル社員のフリをしているから働き方改革は実現しない

働きたいですか?

働きたい人、働きたくない人がいるにも関わらず、働かなくてはなりません。

これまで自分に対して何度も言い聞かせて聞きた言葉。

「働かざる者食うべからず。」

 

この仕事つまんねーと思った所で、働かなければ食っていけないんですよ。
でも、食べる事に困らないだけの給料では(多くの人が)足りないですし、給料を貰い続けるとその欲求は増えて行くのでもっと給料が欲しくなります。
(色々な人がいると思いますが、しがないリーマンはこういう感じですよね。)

そういう所も含めて、日本の会社は出来ています。なんだかんだで順当に経験を積んで仕事が出来れば年功序列の流れに乗る事もできるでしょう。年功序列の何が素晴らしいって、目の前の仕事だけ考えていれば昇給はついてくるって事です。与えられたハードルをこなす事が出来れば昇給、こなせなければ現状維持。他国のように転職をする事で昇給していくという事を放棄する事ができるのからです。

こうやって飼いならされてしまうと、会社を辞める事も難しいし仕事の手を抜く事も難しくなっていきます。・・・でも、油断するとリストラ対象になるかも知れませんが。

 

 デキル社員を演じてしまうから

無理難題を振られても黙々と作業をこなし、成果を上げる社員は本当に尊敬します。しかし、本人のスキルが高くて短時間でこなせるのか、本人のスキルは普通でそれなりの時間をかけて対応しているのかによって状況は大きく異なります。

 部下に仕事を「外注する」と考えてみると、先に金額を決めて仕事をするか、後からかかった金額が決まるかという判断が必要になります。社員なら後者の時給換算で動く人の方が多いと思います。

 仮に時給3000円とした場合とした場合、同じ3万円でもどちらがクオリティの高い物ができるでしょうか。

 ・3万円でこの資料を作ってくれ
 ・10時間でこの資料を作ってくれ

かかる費用は変わらず、更にどちらが良いと言えないでしょう。

10時間という時間縛りが有れば、社員が働く時間は増えません。しかし社員の場合、資料を作り上げる事が目標(仕事)になるのだから、デキナイ社員であれば10時間を超えて仕事しちゃう人が発生します。(=残業)。残業代を払わないブラックならまだしも、普通の会社であれば残業代を払う事になるので3万円以上のコストをかけて資料を作った事になります。

そうなると、時間通りに良い資料を作る事ができる生産性が高い社員を使った方がお得なのだから生産性が高い人に仕事が集まる事になり、結果的にオーバーワークになる可能性が高いです。更に悪い事に生産性が高い人の仕事のクオリティが標準のクオリティになってしまうと、他の人(デキナイ社員)もそのクオリティを求められる事になりますから、デキナイ社員はただでさえ残業していたのに、更に残業が必要になります。

 デキナイ社員がデキル社員のフリをする事で、その状況に拍車がかかります。誰だってデキル社員を演じたいですから、多少の無理をしてしまうのではないでしょうか。
それが日本の会社の良い所でもあり悪い所でもあると思います。社内だけであれば効率化を進める事ができる部分はありますが、対外的(社外向け)に品質を落としていくというのはかなり難しい部分はあると思います。

 

自分の能力に正直に。

デキル社員は時間内にクオリティを高める事が出来ても、あえてやりすぎないような配慮し、デキナイ社員は時間内に最低限のクオリティのものを出していくようしないと、全体の労働時間が短くなりません。直ぐに生産性を上げよとか、効率化を検討しろというのだけど、最初からデキル社員とデキナイ社員がいて、個人毎の得手不得手が存在するのだから、個人にコントロールさせても効果的とは思えません。

評価制度の問題や会社の体制上の問題はありますが社員のスキルを正しく判断して適切なマネージメントをしないと働き方改革って実現しないように思います。社員であってもドライな関係を築く事が出来れば話は簡単なのかも知れませんが日本の慣習ではいきなり変える事はできないですよね。

 

デキル社員のフリを止めて自分の能力ではここまでしかできません!と業績評価を気にせずに言えるようになれば、楽な働き方になると思います。自分の得意分野であれば仕事量を多めに引き受けるけど、苦手分野であれば別の人に仕事をシェアする事がスムーズにできるなら組織として最大の効果を出せると思うのですが、得意分野を伸ばすよりも苦手な事でもうまくやる事が評価に繋がるのだから精神的にしんどくなってしまう人も多いと思います。私もその一人です。

 

(でも、受けてしまった仕事からは逃げられないんだよなぁ。)
 

 おしまい。