市町村のシステム標準化と国民の標準化

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政治に強い興味はありませんが、IT関連の会社に勤めているからには、システム構築に関する案件にはアンテナをたてておく必要があります。

 

システム標準化22年度から 自治体に導入義務付け(共同通信) - Yahoo!ニュース

 

システム標準化は可能なの? 

基本的に自治体に関する法律(地方自治法とか)は自治体(市町村)に対して同じルールを強いているので使うシステムは同じものを使えば良いと言えます。
特に一般市民が影響を受けるものに関しては、A市とB市で大きな格差があると非難される可能性があるため、なるべく横並びになるように気を付けているはずです。

 

格差が大きいと感じるのは、中学生まで医療費無料とか妊婦の検診費用を市が負担するなどの助成や福祉に関してが多いと思います。税収の大小や地域特性もあるからです。国保険の保険料も市町村間でのばらつきがあります。老人が多くて医療費がかさんでいる所は保険料が高くなる傾向があります。

 

市町村ごとのシステムの違い事を考えた時、根っこには各市町村が市民の暮らしを良く・便利にするために検討を重ねる事によって市町村間の違いが生まれてくるというジレンマがあります。つまり市民サービスを目的としたシステムの利便性を向上する事が原因になっていると考えます。金がある所はカネで解決すればいいのでシステムを強化してしまうし、金がない所はシステムを変えず運用でカバーする事を考えます。

何かをやろうと思えば、何かしら金がかかるわけで。

クレーマーもお客様

別の観点から考えると地域性・・・特にクレーマーの存在が影響します。
クレーマーの統計情報は探していませんが、大きな都市であったり地方の気質であったり影響は様々だと思います。

「担当者を出せ。担当者じゃ話にならん、責任者を出せ。」

「税金で飯を食ってるだろう。」

「こんな通知じゃわからん。お前らが悪い。」

 etc …

(最悪なパターンは現場を知らない政治家が出てきてしまう事・・・)

 

それなりの企業であればクレーム対策室が用意されてますし、解決策として商品の交換や金銭のやり取りで何とかなる場面も多いと想像されます。商品やサービスはターゲットは概ね決まっているので、全くリーチしない人からのクレームは少ないでしょう。ところが、市町村が行う業務は広い対象者に対して行う事が多く、反社会的な人や公共の利益を判断できない人(ヒマで話を聞いて欲しい人)にも到達してしまいます。そしてこういう人たちを処理するプロフェッショナルな部署は存在しません。

特に税金や保険料などを個別に徴収する業務に至っては払いたくない人から、とにかくクレームを貰う事になる。 クレームの数を10でも20でも減らそうと思うと、幾重にもリスク回避するための条件を設定してクレームを減らす仕組みを作っておく必要があるのです。これも後ろ向きな市民サービスの一環ですね。

 

こうやって個別対応が積み重なっていく事によりシステムは複雑怪奇になっていき、コストも増大するわけです。 

京都市、80億円投入の事業を一部中断 データ処理システム、多額費用無駄に?|政治|地域のニュース|京都新聞

 

システムの中身は知らないですが、脈々と積み重ねてきた市民サービスの条件を整理できず捨てる事も出来ないから失敗してしまう。作り直す前と完全に同じ事ができるシステムがができたなら、それは作り直していないのと一緒です。

壊して作り直さないと、新しくはならないですよね。

 

国民を標準化できれば、システムは標準化できる

市町村に同じシステムを使わせる(国が配布するわけではなさそうですが…よくわかりませんね)としたら、市町村オリジナルの市民サービスで必要な機能をそぎ落とす必要があるわけです。そりゃ国や国民の目からしたら要らない機能であっても、現場の方にとってはとても重要な機能だったりします。恐らく現場は混乱しSIerも混乱し元のシステムを使いたいという声が上がるような気がしてなりません。

 

私もシステム標準化に対しては賛成です。
ただ、現場の方に対して防衛する権利や組織を整備してあげるという事も必要ではないかと感じるのです。人口が減り高齢化している状況の中でクレーマーの相手なんかしていたら効率も何もありませんからね。そして、例外やイレギュラーをどんどん排除していけば、本当に必要なものだけ残ると思います。

慣習や例外をいかに克服していかにして進化する事ができるのかが試されているように感じます。国の仕様がはっきりしないから何て言ってたら、何も変われないでしょうね。

 

おしまい。