チェックリストの呪縛

プロジェクトは関門を潜り抜けて進む。

プロジェクトが始まる前には厳しい審査を受ける必要がある。
過去の様々な失敗を排除しプロジェクト成功へ導く必要があるから。儲からなければ仕事じゃない。赤字を出して良いプロジェクトは無い。(儲からない仕事はお客様から価値を認められない仕事なんだとも言われた事があるなぁ。現場が悪いのかね。)

現場としては何でも良いからお墨付きを貰わなきゃプロジェクトが始まらない。失敗した場合、現場では責任を取る事はできないから会社のルールに従わざるを得ない。

 

呪縛アイテム-チェックリストと過去事例

そこで使われるのがチェックリスト。
失敗から生みだされるチェックリストは既に担当者の心を挫くには十分な量が用意されている。油断できないのがチェックリストの項目に「別紙〇〇リストの項目をチェック済みか」というチェック項目が記載されていて多段攻撃を仕掛けてくる場合がある。別紙になっているという事はかなりのボリュームになっていると思って間違いないので心が死ぬ。目がチカチカするようなチェック項目ごとに何かしら回答が必要だし、無関係な項目も無関係を説明する必要があるのでチェックリストの呪縛はかなり強力だ。呪縛を無効化するため大量の工数を投入して資料を作る。内向きオブ内向きの作業。意味が無いとは言わないけれど心が死にがちなので審査を通すための資料になりがちなんだよね。

過去プロジェクトの事例は欠かせない。「状況が違うから事例は使えないですよ」などと言ってはいけない。絶対に。それを言う何を基準にして計画しているんだと問われるから心が死ぬ。経験値を重視するわりに経験と勘で作ったと言った日にはすべて作り直しになる。何を差し置いても前例を使う事が優先される。そりゃそうだチェックリストが過去の事例からできているわけだから。プロジェクトの進め方は定石通りに手堅く、アプローチは丁寧に、ホールインワンは狙うなと言ったゴルフの進め方に似ている気がする。私はゴルフはしないけど、偉い人にゴルフ好きが多いのはそういう部分がありそうだ。

どのプロジェクトも最初はいい感じの計画になっている。チェックリストを見渡したのに最初から良くない計画書ができていたらやり直しだ。チェックリストの手のひらの上で踊らされていてうまく踊らないとNGって事になる。

 

チェックリストの弊害

チェックリストは欠かせないものである事は間違いない。抜けもれなく確認すべき事を確認した証だから。門番に見せる通行証のようなもので、偽物を見せた場合に門は通り抜けられないという仕組みは良くできている。

とは言え、まじめに全部取り組んでいたら何もできなくなる危険はある。どこかでリスクを取って進めるしかないんだよ。間違いなくネガティブアプローチになるしチェックリストに飼いならされた人に革新的な事にチャレンジさせるには無理がある。事例はどこにある?リスクはどこにある?という先人の教えを探してしまうから。

 

トライアンドエラーを許容できないと仕事のスピードは上がっていかないですね。大失敗しないけど大成功もしない。私はそんな仕事を続けてきたなと思うのです。

 

おしまい。