他の会社で通用するスキルが無いと感じる理由

自分には目立ったスキルが無いという現実

同僚から世間話のような相談を受けました。

年齢は30代前半で何でもこなす優秀な方で、思い込みが激しい所や質に拘りすぎる面があるものの特に欠点という欠点は見当たりません。

それなのに、「自分には他の会社で通用するスキルが無いから、この先のキャリアが心配だ。」と言うのです。

 

その時の私は、はぐらかすように答えました。

「世の中には、EXCELも知らなければWBSという言葉も知らない人がいるんだから。そういう人達から見れば、色んなスキルを持っているでしょう。必要とされる技術があれば、それがスキルなんじゃないかな。」

それに対して、そりゃそうなんだけど…という顔をされてしまいました。

 

 

同僚も私も、これまでやって来た仕事が、「会社の仕事」なのか「自分の仕事」なのかという意識をしてこなかった事が、今の自分にスキルが無いと感じてしまう原因なのだろうと思うのです。

 

会社で評価が上がれば世間の評価も上がったと勘違いするよね

会社の常識は、社会の非常識などと言われるくらい、社内のルールは独自性が高いと想像できます。もちろん似ている部分は多いと思いますが、全く同じ会社と言うのは存在しないでしょう。全く同じなら合併してしまった方が効率的です。

社内の評価基準を基に「会社の仕事」成果を出したなら、社内の評価は上がる事になります。でも、社内の評価基準は社会の評価基準と近いものでしょうか。恐らく答えはNOでしょう。社内の評価基準には社内のルールを乱すこと無く仕事を進める事も含まれるからです。社内で得られた独自のノウハウは基本的に外部に出せない事から、他の会社では通用しない(と言うか、使ってはいけない)ノウハウになるはずです。そうなると「会社の仕事」を頑張る事で、社会の評価基準からは外れてしまう事になると思うのです。そう考えると会社での仕事をなるべく社内に閉じないようにする事を考えなければなりません。

 

例えば、とある自社製品について深く勉強する必要が有ると仮定した場合、自分がその自社製品について深く勉強する事で高い知識を得たとします。そして社内では自分の右に出るものがいなくなったとします。すると、会社にいる間はその知識を生かしてスキルがあるという事も言えるのですが、その会社を出てしまったら、そのスキルの価値は大きく目減りします。それは自社製品(会社)に依存するスキルの割合が依存しないスキルの割合に比べて大きいと想定されるからです。

 もし、自社製品を勉強する際に他社製品との比較や共通的な要素、世間的に求められている要素まで含めて知識を集めていたらどうでしょうか。その人の立ち位置は全く違うものになると思いませんか。それが直接的には会社から求められた仕事では無かったとしても製品の本質を知るという点を「自分の仕事」に落とし込む事が出来れば、社会的に通用するスキルになるわけです。

 

このように、「この会社でしか通用しない」と思われる事を、「どこでも通用する」という事に意識的に変化させていく事が、強いスキルを身に着ける事に繋がるのだと思います。もちろん、需要があるスキルの方が重宝されるし価値も高くなるので、そのあたりのバランス感は重要だと思います。

 

他の会社でも通用するスキルを得るために

 現実的には、「自分の仕事」にすることが重要だと思っても会社から給料を貰っているからには社内評価も必要です。基本的に会社や上司に対して迎合する方が比較的楽に評価を得られるため、余計な事を考えるよりも上司の指令をそつなくこなしていく方が優秀と見なされるでしょう。スピード感が大事というやつです。その時、上司の考えている少し先を捉えて仕事に生かしていく事が優秀と判断されやすい。テクニックや処世術と言われる類いのものだと思います。会社で仕事をしていくためにはどうしても必要な事なのでいかに強弱をつけてこなしていくかがポイントなのだと思います。無駄と思える部分の力を抜き時間を空ける事で、自分や会社が得をする時間を作る事が必要なのだと思います。上司の質にもよりますが、本当に優秀な人はそういった工夫も観ているものではないかと思います。

 飛び抜けて優秀と言われる人を想像すると、ほとんどの場合は会社の枠に 囚われていない行動力を持った人です。それでも社内の事はちゃんと考えていて結果も出しているわけで・・・。(自分には真似できませんけどね。)

 

 会社に所属しているメリット

会社と契約し仕事をするという事は、仕事に関して個人の責任を放棄できる事です。絶対に自分しかできないと思う仕事でも、いざとなれば誰かが対応してくれます。(極度のブラック企業を除く。それが守られないならば、その会社に所属すらメリットは小さいかも知れません。)しかし個人の契約であれば、仕事に関して自分の責任を放棄する事はできません、自分の責任で解決する必要があります。

つまり、どんどん失敗できるという事が本当のメリットなのだと思います。(現実的にポジティブに考えられる風土を持った会社は少ないと思いますが。)会社にいてスキルを伸ばしたいというのであれば、自分から志願して自分が結果を出せる場所、出したい場所に行くという事です。会社にいるうちは失敗しても大丈夫なのだから。(解雇されるまで失敗するとダメですけど。)

 

正直なところ、これがやりたい!と思っても自分から志願して異動しようとはしませんでした。これから・・・と言っても年齢的にもそういう異動は難しいと思います。会社の仕事を自分の仕事にする努力、自分の仕事を自分で選ぶという長い目で見た努力を怠ってきた自分のせいではあると思います。

 

もし「自分の会社がなくなったら」のシュミレーションは若いうちからやっておき、他でも通用するスキルを意識しておく事が重要だと思うのです。

 

 

 

おしまい。