「転職したらいくら貰える?」

サイボウズの給料は「あなたが転職したらいくら?」で決めています | サイボウズ式

 

市場の価値に合わせて、社員のお給料のベースを決めているという内容でした。

 

社外的価値は、「転職したらいくらもらえそうかという金額」です。その人が転職市場でどれくらいの値段が付くか? 当然、転職する会社によってオファーの金額は異なりますよね。そこから金額のレンジを決めていくんです。

「頑張ってます」は社内基準

古き良き時代の家族経営は少なくなり、会社と社員の関係は雇用契約に基づいて給料が支払われる事になります。

給料にどうしても付き物なのは査定(人事考課)です。転職した経験がないため想像でしかありませんが、会社組織であれば必ず行われている事だと思います。一般的に高い評価が得られれば嬉しい、低い評価がつけば悲しいと思います。もちろん会社の中での評価なので、社外に出たら同じ評価が得られる訳ではありません。ザックリ言ってしまえば、社内のランク付けと言えるでしょう。さらに社内政治の影響を受けている事は言うまでもありません。「頑張ってます」とアピールする相手は、市場やお客様ではなく、会社だという事です。

 

社員の市場価値を考えずに会社が成長できるのか?

 経営者ではない私が考える内容なので間違いはあると思いますが、単純に市場価値よりも低い価値の人材は負債だと思います。市場が求める価値を提供できないのだから、赤字ですよね。市場の動向やトレンドなんかは目まぐるしく変わっていくので一定ではありませんが、需要と供給の関係で不足すれば高くなるし、余ってくれば安くなると思います。会社が利益を確保するためには市場に追従するか、先読みをする必要があるわけで、「社員の給料が高止まり」と言うのはかなりのリスクなのではないかと思います。そんな会社が中国や東南アジアと戦って生き残って行けるのでしょうか。日本はそういうルールだから!なんて言っていられないでしょう。

 

市場価値を社員に押し付けたらどうなるか?

無難な評価を受けていた人は、急激に給料が減る事になると思います。無難な評価の大半は他の誰かでも代用できる仕事を分配しているに過ぎないからです。同じレベルの人が増加すれば相対的に給料が減る事は間違いありません。会社組織ではある一定まで足並みを揃えて成長してもどこかで頭打ちになると思うので、(そうしないと、役職者がどんどん増えてしまうため。)同じレベルの人が増加していくというのは容易に想像できます。一方、オンリーワンな人材は評価と共に給料が上がってますますやる気があがる可能性はあります。一見すると直ぐに会社が良くなりそうですが、給料が減る社員からの不満が高まると共に、オンリーワンの人材に無駄な仕事が集まってしまう可能性が高いです。「給料が高いのだから、それだけ仕事させればいい」という発想が根強いからです。無難に仕事をしている人は、「給料が高い=仕事をたくさんしている=長時間仕事をしている」という発想になりがちです。オンリーワンの人は、「付加価値の高い仕事をしたい、チャレンジングな仕事をしたい」と思い仕事しているから上からの評価も高くなるわけで、根本的な考え方が違うと考えます。

 

世の中全体が変わったら

 日本以外でも労働者のストライキは発生していて、雇用に関する問題は尽きないと思います。とはいえ、市場に合わせて給料が決まっていくという発想になる事で、会社を選びやすくなり労働環境が改善される可能性がある事は間違いないと思います。人の流動性も高まるし、努力も報われやすい、会社が倒産しても別の会社に移りやすい。しかし、世の中には頑張れない人もいるし、ハンディキャップを持った人もいます。また、会社が人を育てなくなるので、学校教育の在り方(先生が言った事を覚える、きちっとやる)という事が必ずしも社会で役に立つとは限らないし、社会に出たら誰も教えてくれない事を教えておく必要が有ります。子供の頃からの意識を変えていかないと、常に受け身で過ごしてきた人は苦しい生活になるかも知れないし、優しくない社会が悪いのだという人が出てくると思います。

 

 終わりに

守られている学校生活が終わったら、自分から動く必要がある社会に放り出されるという現実は今の大学生もわかっているとは思いますが、自らの価値がどこでどのように決まっていくか考える必要が有るのではないかと思います。名の知れた会社に入ると、世間的には良かったねと言うと思います。それが転職すると言った瞬間に「勿体ない、残念だ」と言うでしょう。でも現実としてシャープや東芝に入った学生さんはどのような思いなのでしょう。万が一倒産して転職する時に倒産した会社に所属していた事そのものがプラスになる事はほとんどなく、会社で何をやっていたか、自分は何ができるかが重要になると思います。会社の殻を脱いでしまったら市場価値しか残らないという事が明確になって行く中で、緩やかにでも世の中の考え方が変わっていくといいのではないかと思うのです。

 

おしまい。