仕事をカイゼンする事のリスク

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会社の中で異動ってありますか?

公務員のように一定期間勤めていると強制的に部署を変えるような会社もあれば、ひたすら同じ部署で同じことをやり続けるという会社もあると思います。

現場の事だけを考えると長期間働いているベテランやプロフェッショナルがいて、困った時に率先して対応してもらえるとすごーく助かるという場合が多いです(職人気質で使いにくいというのも良くある話)。
とはいうものの、ベテランやプロフェッショナルが時限爆弾となって、いつかいなくなる日が訪れる事は間違いない以上、ある程度で異動していく方が健全だろうと個人的には思うわけです。

 

あいつ、会社辞めるってよ。

15年前であれば雇用延長や再雇用が一般的ではなかったので定年が近づく事が要注意ポイントでした。女性は寿退社なんていうのが一般的でしたし。15年~10年くらい前だと働きすぎでメンタルをやられたり成人病になったりという本人の体調が問題になり、10年前からは介護問題による退職や時短、5年前からは優秀な人は新天地を求め辞めるし、新人は明日から会社に来なくてもおかしくないという時代になってきたように感じます。(個人的な観測範囲では。)

 

男だから仕事を辞めない、女だから結婚したら仕事辞めると発言するのは50代以上ではないでしょうか。まだまだ、そういう経営者や役職層が残っているので女性が苦労する所も多いと思う反面、会社として適切な制度ができていないから扱いが面倒になってしまうという事も理解できなくはないというのが本音ですが、そういう会社がどんどん減っていけばいいなぁとは思います。

 

それはさておき、今でも会社で隣の席に座っている人が明日から来なくなる可能性は十分にありえるわけです。会社としてはそういう事態に対して柔軟に対応できるように制度やマニュアル化しておく必要があると思います。残念ながら、そのような会社目線の対応では離職の可能性を高める(要は離職しやすくなる)事にも繋がるので、バランス感覚が非常に難しい。

社員にこの会社でいいや~と思わせるように給与水準を保つとか、しっかり休日を与えるとか、会社が優秀な人材を引き留める方法(=ウリ)を考えておく必要があるでしょう。今はネットで情報共有されてしまう事を逆手にとって、社員からプラスの発信をして貰えるような方法があれば最高ですね。

そういえば、急に上司との面接回数が増えたんですけど面倒なだけですね。我々のような古参には全く響かない制度なので若い人のためにある制度です。数々の不満を抱えて染まってしまった我々ではなくピュアな心の人がピュアであり続けるために活用されればいいと思います。

 

仕事を奪われたベテランたち。

世間のトレンドから取り残された人たちもいます。
それはずーっと客先で常駐してきた人たち。

稼いでいるうちは功労者と称えられ、多少のワガママも目をつぶって貰っていました。ヨソとは薄い関りしか持たず狭い範囲で費用を削られながら最適化を行ってきた彼らはソトの世界で受ける理不尽の大きさをあまり知りません。

だから、仕事が無くなったら急に使えない集団扱いされるわけですよ。

 

長い間、同じ部署にいて同じ仕事をしていると、ほかの仕事やほかの仕事のやり方について不満が出るようになります。そりゃそうでしょう。長い時間をかけて自分たちがやりやすいようにカイゼンしてヌクヌクしてきたわけですから。そこでサクッと切り替えられるか、自分のやりやすさを拘るかでその先が変わっていきます。

仕事が最適化された状態とは、効率的かつ間違いを起こさない状態と思うのですが、中で動いている人たちは融通の利かない、ルールに従う事だけがうまい人間になっている場合が多いです。そうなると新しい事を取り入れず、ヨソで当たり前になっているトレンドにも疎い状態に陥ってしまいます。更に言えば人が固定化されているわけで対人的な柔軟性も失っている場合もあって手に負えません。

 

費用対効果が逆転する。

最大の問題点は、知らない部署に異動しても以前と同じレベルでパフォーマンスを発揮する必要があるという事です。同じ給料を貰うならそれ以上のパフォーマンスを出す必要がありますが技術や知識の引き出しが増えていないのでなかなかうまく行きません。会社の責任だと言ってしまえばそれまでですが、自分事として対応できない人がその先もうまくやっていくのは難しいでしょう。当然、評価も下がるので本人たちのモチベーションも下がるし、会社としても更にお荷物になっていくという悪循環が発生するわけです。これではリストラ一直線ですよね・・・会社に裏切られたとか言ってもね。

 

サラリーマンは今の仕事が一生続くわけじゃない。

この部署は良い所だとかこの仕事は楽しいと言っている時、もしかしたらその部署そのものが無くなったり、その仕事がロボットに取られたりする可能性を考えておく必要があります。

サラリーマンならなおさらなのハズなのですが、自分の回りにはそれに気づけない人が多くて心配になります。ありがちなのは若い時にデキル奴だと判断され、現場のリーダーとなってしまい、ほかの現場に異動できなくなるケースです。デキル奴とおだてられ自分がやらなきゃと思い込み、現場のリーダーとしてやっていると自分の居場所だと勘違いしてしまうという事ではないかと思います。本当なら若いうちに選択肢を増やしておいた方が良いはずなのに上司に育成する意思がなければそのような状況にはなりません。どちらかと言えば、「任せられる人材になったのに異動させたらもったいない」という意識が働きます。(周りのメンバーが頼りすぎて異動させられないケースも多い。)

同じ現場、同じ仕事で最適化を極めようとする行為は、自分が次の現場、次の仕事をやる機会を潰している可能性があると思うべきでしょう。私は幸か不幸かお世話になった上司に色々な現場に異動させられたため、自分の立ち位置を考える機会を与えられました。常に属人的にならず誰かに引き継ぎできる状況を作っておき、チャンスがあれば抜け出せるようにしておくべきだと思います。自分が考える以上に、自分しかできない仕事と言うのは少ないものです。

 

仕事をカイゼンする事のリスク

日本人としてカイゼンに取り組んでいる職場は多いと思いますし、カイゼンしていかなければ他社に負けてしまうどころか同僚にも負けてしまう世の中です。反面、カイゼンを極めたならば自分はその仕事には不要な人間になっているはずです。組織があるのに自分がいないとダメな状態はカイゼンされたとは言えないわけですから。(サラリーマンですからね…自分を切り売りしているアーティストとは違います。)

組織でオンリーワンに憧れる人は多いけれど、オンリーワンになった時点で何かに失敗していると感じた方が良いでしょう。それよりも自分で新しい仕事を求めて経験を積んだ方が人生でも役に立つし、いざと言う時に潰しが利くと思います。

仕事をカイゼンする事のリスクは誰かに引き継いでいく事で軽減され、引き継いだ人にとってのスキルとして新たなカイゼンを生んでいくサイクルを回せる事が理想であり、そのためには常にチームを作りオンリーワン体制を壊せるように考えておく必要があると思うのです。自分がいなきゃダメだな~なんて考えはただの自己満足ですね。

 

回りを見たら古参しかいない職場は・・・気を付けましょう。

 

おしまい。