ITのシステムは正しくて間違えないという建前

ITという言葉は「あぁ、パソコンとか?」言われなくなって来たように思います。パソコンなんてなくたって、インターネットには繋がるしYoutubeを見ることができます。メールも使えるし、いやメールなんて要らなくてLINEやTwitter、それ以外のサービスもインフラになって久しいと感じます。あまりにもネットがインフラ化していく反面、インフラを支えている基幹システムと呼ばれる会社に重要なシステムは、日々地味に運用されていると言うのが実態です。そんな地味なシステムであり間違うことの許されないシステムに大きな影響がある出来事が…

 

改元対応とサマータイムです。

 

いろいろな所で議論されている事ではありますが、システムをサポートしているSEとしては、たいしたメリット(費用対効果)もでないのに無茶苦茶金がかかるので、絶対にやりたくないと言うのが本音です。(改元は避けて通れないのですが。)

 

世の中に良い効果があるならまだ良いんです。対応する事に説明がつくから。しかし、改元サマータイムも特に良い効果なんて無いと思うのです。多くの人が納得しない事に対して、簡単にお金を出してくれるわけがあります。無関係な人(日本に住んでいたら完全に無関係ではいられないですが)にとっては、自分がカネを出すわけじゃないからうまくやっておいて!と思うでしょうが、余計な事をする以上、なにかしらの影響が発生する可能性はあるわけです。基幹システムの何が問題かと言えば、ゲームや無料サービスと違って、「間違えちゃった!テヘペロ」では済まされないという事なんですよね。隙を見せればクレーマーが山ほどやってくるからです。

 

基幹システムに対する「信用」という意味ではお金を扱うシステムに対する厳格さ(品質)に関しては高いレベルを求められても仕方が無いのですが、通知文書の発行日とかそういった見た目が改元後に「平成31年」と間違って使われたとしても困る人なんてほとんどいないと思います。一般的な人なら読みかえればいいわけで。(昭和から平成の時も読み替える事が多かったと思います)それでも鬼の首を取ったようにクレームをいれる人がいるんですよね。そういう所の一つが発覚しただけで、類似の場所を全て調査し直します(横展開)。こういう費用って絶対に認められない。調査漏れした方が悪いと言われるのです。実際にはろくに調査費用も貰えてないのに完璧な調査なんて出来るわけがないのになーと言うのが現場の本音だと思います。 

 そもそも元号を使っているシステムっていうのがレガシーなシステム又はレガシーなシステムからの継承であって、元号制度に対する厳格性を求められるという点も対応が難しくなる要素だと思います。事前にされる事により、「急な変更なので対応できなかった」というイイワケを封殺された上に、たった1か月前にしか分からないというのも今回のポイントだと思います。世間的には事前に分かっているんだからちゃんと対応しておくべきやろ!という認識を与えてしまったわけですし。

 

サマータイムについても、さまざまな議論をされているところだと思いますが、「間違えちゃった!テヘペロ」で済ましてくれるなら、(時間をずらすという意味では)対応できる可能性はあると思います。しかし万が一にもそんなことはないわけで、ネットワークとして繋がっているありとあらゆるデータに関してテストを行う必要が有るのですから総じて大量のシステム改修だけではなく、システム間の調整(認識合わせ)に対するコストが発生する事になります。費用を積み上げていけばオリンピックの競技場問題を吹き飛ばすくらいコストが発生するんじゃないかな。どう考えても人間が対応する方がまともな感覚だと思います。もはやオリンピックの開催に関してなりふり構わないような状況になっている気がしますが、オリンピックに好意的な人であっても自分が金を払わなきゃ開催できないならやらない方が良いと思う人も多いのではないかな。

 

あって当たり前、動いて当たり前。正しくて当たり前。システムの立ち位置はそんな感じだと思います。世の中がそう感じるほど身近で正常に動いていると勘違いしていますが、どのシステムもどこかでは小さなエラーが発生しています。Windowsだってスマホだってエラーが発生しているわけですよ。サクッと再起動してなかった事にしているだけで。大きなシステムではそういう対応が出来ないですし、データ的なイレギュラーの混入により人間系での対応は必ず発生しています。

世の中はシステムは正しくて間違えないという建前で動いていかなければ、回っていかない状況になっているのは間違いありません。今の日本ではいちいちシステムの誤りを心配していたら生きていく事すら難しいと思います。(スマホが爆発するかもしれないですしね。)建前は建前として必要だと思います。ですが、その建前を真実に近づけるために多くの報われない作業をする人たちがいる事も知っておいて欲しいと思うのです。システムが勝手にやってくれているわけじゃなく、人がエラーをうまく排除しているからこそシステムは正しくて間違えないし、いつでも動いているように見えているのですから。

 

おしまい。