使いやすいシステムが構築できない理由

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システムにも変化が求められる時代

システムエンジニアという肩書なのだけど、新規のシステム提案みたいな営業支援ばかりやってます。モノを売りに行くわけですから、売れるように考える必要があります。

システムと表現しているのはMicrosoft Officeみたいな製品を売るのではなく社内の基幹システムを構築するお仕事だからです。会社員人生の多くをシステムを作る側に携わってきましたが、システムを売る側に回る事は多くありませんでした。


私の中の最初の壁は「なぜそのシステムが必要なのか?」という部分です。
システムは空気のように会社で動いていてほとんど止まることなく使われています。しかしシステムの全体像を知っている人はどれほどいるでしょうかか?自分が使う以外の機能について詳しい人ってどの程度いるでしょうか?

大半の場合、情シスがやってるから~という回答になると思いますが、情シスの人は業務系のシステムなんて実際には使ってないですから本当の現場の使い方は知らないのです。システムは立場によって求めているものが別の次元だったりするので、そのシステムが必要な事が何なのかを整理するのが難しいという側面があります。

それと、同じ業種であれば同じような業務があるので同じシステムを使っているように思いますが、実際は会社ごとに違うシステムを使ってる事が多いのです。厳密には同じベース(パッケージ)の上に、会社独自の機能(カスタマイズ)を加えたシステムになっていると思います。

 

システム導入や入れ替えは分からない事を紐といてから始まるのですが、これがまたうまく行きません。それにはいくつか理由があります。 

決裁権を持った人が満足する必要があるから

現場が満足するシステムの導入を・・・なんて聞いた事ありますか?もしあったとして、それを信じた事はありますか?
システム導入の一番のメリットは手作業を減らす事。その先には使う人を減らす事です。使う人を増やすために会社のシステムを入れる所はありません。そのため、決裁権を持った人が費用対効果を報告しやすい状況にする必要があります。売り上げの伸びをシステム刷新の費用対効果として見せるのは難しいので、人件費を減らす事で費用対効果が出たことを示す必要があるのです。

もちろん、現場が満足するシステムを作る方が混乱は少ないのですが、現場をシステム側に合わせた方が費用対効果が高い事や、新しい事についていけない人材を削減するというメリットが大きいため決裁権を持った人が満足しやすい仕様になりがちです。

推進者が満足する必要があるから

システム導入を推進した人は現場からのクレームを逃がしつつ、トラブルを防ぎシステム導入が成功したと言い切らなくてはいけません。ですから、最初に多めの改善点をピックアップし、その中で簡単に対応できそうなものを解決します。そうする事で、導入当初は我慢してもらい、安定稼働してから解決するという言い訳をする事ができるのです。推進者は余計な改善(独自のカスタマイズ)を避ける事でトラブルを防ぎ、現場には将来的なカスタマイズを期待させクレームを押さえます。
推進者がシステム稼働後もその役目を続ける事は稀なので、この方法でも問題は無いのです。推進者の目標と現場の目標は最初から違うので使いやすいシステムにならない場合も多いです。

使いやすさは個人によって違うから

身も蓋も無いですが、これが最大の理由です。仕事で使うシステムで使いやすいと言われるのは定型の機能しか使わず利用頻度が低い場合だと思います。EXCELを使いこなしていない人が知らない機能の文句を言わないように、簡単な機能を使う分には可もなく不可もなく紙と鉛筆のような存在になるわけです。しかし、多様な機能を使いたい人に取っては、必ず使いにくい部分が生まれます。でもシステムはトラブルを発生させたくないから余計な改修は行いません。むしろMicrosoft Officeのように機能を追加してくれたことが使いにくくなる なんて事も多いのです。 

 

使いやすいシステムとは最終的には相性です。
相性のいい人が多い、イケメンなシステム方が良いに決まっていますが、時代の流れや主流な考え方に依存する事は避けられません。システム導入ではブサメンが花開く事は無いと思うのでシステム導入を推進する人はイケメンを探してマッチングしてくれる事を祈るばかりです。

 



おしまい。