システム運用の成否は発注側の意識にかかってる

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対岸の火事を見て思う事

東証の障害で中の人は相当な混乱だったと思います。

東証システム障害で金融庁、報告徴求命令(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース

 

影響は日本だけに留まらず、海外の投資家にも影響を与えているでしょうから、トップニュースになるのは当然ですね。地方で小さなトラブルを起こしても新聞記事なるくらいのご時世ですから。マイクロソフトのOffice365の障害やグーグルのG-mailの障害の方が影響を受けた人が多いと思いますが一定の諦めをもって利用されています。いずれもオンリーワンなシステムですが同じトラブルでも扱い方は大きく違います。

 

その理由を簡単に分類してしまえば 金や人命をダイレクトに扱う業種のシステムはシビア という事になるでしょうか。(大きな金は命や人生にかかわる可能性もあるので広い意味では人命優先なんでしょうね。)
 

東証は対外的に責任は自分たちにあると認めた所が称賛されていますが、この考え方が当たり前になってほしいと願うばかりです。発注側はシステムの事が分からないからSIerに任せるという事を主張するし、SIer側はその期待に応えますという事を宣伝する。そこは違うでしょう。

 

都合の良いプロが欲しいなら自社で抱えてくれ

超人だろうが、達人だろうが、プロだろうが失敗する時は失敗しますわ。もちろん機械だって壊れます。そこは契約に基づいてビジネスライクになっていい。でも、業者を選定し仕様を決め実際の利用者との合意を行ったのは発注側なのだから、その責任は発注側にあると考えるのが普通でしょう。

 単純に入札で安い業者に対して丸投げする体質を変えないから、間違っている事を正す力も働かない。何に拘り、何を捨てるかを正しく判断できなくなってしまう。失敗するのが怖いならシステムを使わなければいい。システムが正しく間違いなく動くというのは幻想です。

 

次にシステムを作った人がどのように考えていたかを想像する必要があります。超人だろうが、達人だろうが、プロだろうが失敗する可能性はあるのだから、どれだけリカバリできるかを考えておくのが必要です。壊れないシステムなんてない。

何でも責任のとれる都合の良いプロが欲しいなら自社で抱えて欲しいものです。

 

故障や失敗は常に起こり続けている

自分の回りを見渡してみれば残念ながら人は失敗だらけです。押し付けられた仕事なんかでモチベーションが下がっていたなら失敗の度合いは爆上がり。多くの場合、言われた範囲の事ができていればOKですが、それが成功なのかどうかは俯瞰してみないと分かりません。業者任せの会社は業者の作業環境をないがしろにしてませんか。

 

人間がかかわる事に関して品質を上げトラブルを避けたいなら、最初にやる事は職場環境を良くする事だと感じます。「金はかけられない、人で何とかするんだ。」と言われるけれど、劣悪な環境なのに人情だけで頑張らせるなんて戦後の発想でしょう。たたき上げの偉い人は自分が苦労したことは部下もできると勘違いしている。

若者は働いても良いと思わせる何かがなければ別の場所に行ってしまうし、老害は見て見ぬふりをして時間が過ぎ去る事だけを考える。余計な事に巻き込まれたくないからね。知らなかったと言えば責められない。

 

トラブルは起こるという前提に立ち、影響を最小限にする仕組みや人の動きを現場で検討として変えていく権力がないと良い状況にはなりません。業者だけでは変えられないから発注者と業者が一体となって進めないと成立しないわけです。都合の悪い事も含めて情報を共有できるように環境を整える必要があります。(現実は難しいですが。)

 

 東証はかなりの金をかけてシステムを作り、それが自分たちの責任で動いているという自負を持っているのは非常に健全だと思います。富士通がどれだけピンハネをしていたかとかどんな環境で作業していたかという事を知る術もないですが、どんな環境でもトラブルは起こるしその対応も準備しておく必要はあるという教訓になったのではないでしょうか。

 

おしまい。